マンション管理の特異点

マンション管理に役立つ法律やルールをコペルマンがわかりやすく解説

中古マンション相続の際に気をつけるコト

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 現代日本のマンション市場は、建物の老朽化と住人の高齢化といった二つの「老い」に直面している。悲しいが、「死」は例外なく誰にでもいつかは訪れる。そこで、相続をテーマの中心にして、2つの立場から所有者を失った空間をどうしていくべきか記したい。

アナタが相続する場合

 この場合の注意点は、本当に相続するかどうかだ。判断基準は、正の遺産なのか、負の遺産なのかということに尽きるはずだ。マンションの場合に負の遺産となりやすい要素は、管理費や修繕積立金の滞納だ。日本人はマジメな民族ではあるが、アナタが支払いきれないほどの滞納金が残されている可能性も無きにしもあらずなので、まずはこの点をマンションの理事長等に問い合わせて教えてもらえれば良い。

 

 上記と同等に大切なのが、マンションに銀行等からの抵当権を設定されていないかどうか。これは法務局で物件の謄本資料を取得すればわかる。借金が残っている限り、きちんと返済しないと物件が担保にされてしまう。せっかく相続したマンションが競売で強制処分された日には悔もうもうにも悔めない。競売で債務がゼロになればまだマシだが、競売が実行されても借金だけが残るケースもある。

 

 次にチェックしてもらいたいのは、相続をしようとするマンション自体が適切に管理されているかどうかだ。理事長等に滞納金がないかどうか確認する時に、委託先の管理会社の担当者の連絡先を聞いておくと良い。下記が具体的に聞いてもらいたい内容だ。

  • マンションの管理状況はどうか?(あえて漠然とした質問をぶつける)

    ⇨ ネガティブな返答があった場合には、その理由をきちんと聞く。

  • 他の住人はどんな人が多いか?(滞納者がいるかどうか確認する)
  • 修繕積立金は適切に積み立てられているか?
  • 長期修繕計画はきちんと計画されているか?
  • (築50年を超えている物件なら)建て替えの計画はあるか?

 真偽は別としても、マンションは管理を買えと言われるくらい管理が大切な要素だ。きちんと管理されていないマンションは老朽化も早く、大規模修繕や最悪の場合は建て替えで持ち出し金が必要になるケースもある。債務の無いマンションだったとしても、所有権がアナタに移ってから正だった資産が、たちまち負の遺産になっては元も子もない。

 

アナタが理事長だった場合

 日本はいい国だが、寂しいことに、孤独死も大きな社会問題だ。孤独でなくとも家族と疎遠な方も大勢いらっしゃるのが事実。孤独の所有者が亡くなってしまい、マンションの管理組合の中心的存在である理事の対応も非常に重要だ。なぜなら、相続人がいなければ、その部屋の管理費と修繕積立金は未回収債権化してくからだ。

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 一部屋といえど、恒常的に債権を未回収化させてしまうとアナタのマンションの管理に影響を及ぼす。管理にはノウハウがとても大切な要素ではあるが、それでもお金さえあれば対処できる選択肢は多くなる。言い換えれば、現金さえあればいかようにも有事に対処できてしまう。

 

 しかし、逆に未回収金が多くなるとそういうワケにもいかなくなる。相手がこの世にいればまだ良いが、回収する相手がいない債権はただの未回収金そのものだ。修繕積立計画も狂い、1戸あたりの管理費も値上げしなくてはならなくなるかもしれない。そうなるとアナタ方住人のロスに繋がる。

 

 だから、何としても相続人を見つけ出そう。最終的には内縁の妻でも夫でも相続できてしまうので、何が何でも相続人を早急に当てが得るように管理組合としてアクションすべきだ。そして、それがアナタ方のロスを減らす最短ルートだ。元々の所有者が失踪したケースも含み、こう言った相続人が見つけられなかった場合には、家庭裁判所に請求してその財産の管理について必要な処分を命じてもらう。

 

 相続人がいるかどうか明らかでない場合は、民法第951条により相続財産は、法人とされるとしている。端的に解説すると、相続財産管理人が設置され、その財産はその管理人によって管理され、なおかつ相続財産の状況報告までしてくれることになっている。この無敵に近い管理人に渡ってからは、公告を通じて捜索等が進められる。

 

 しかし、それでも相続する者が現れない場合には、敷地利用権と共にその一室は国庫に帰属してしまい、管理費や修繕積立金は未回収金となる。なぜならば、国であって特別承継人ではないからだ。